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ADHDの病院は保険適用される?診察・検査・薬の費用と自立支援医療をわかりやすく解説

この記事の執筆・監修|院長 福島 康浩(精神保健指定医/日本精神神経学会 精神科専門医・指導医)

「病院でADHDを診てもらいたいけれど、いくらかかるのか分からない」「検査は高額だと聞いた」——受診をためらう理由として、費用の見通しが立たないことは決して小さくありません。結論からお伝えすると、ADHDの診察や治療薬は健康保険の対象です。心理検査についても、診療上必要と判断され、保険診療として実施されるものがあります。ただし、検査の一部や診断書などの文書は保険の対象外です。この記事では、どこまでが保険適用でどこからが自費なのかを、実際の金額の目安とあわせて整理します。

⚠️ 緊急のときは
「消えてしまいたい」「自分を傷つけそう」といった切迫した状態では、通常の予約を待たず、身近な方、地域の精神科救急医療相談窓口、または緊急時には119番へご相談ください。

結論:ADHDの診察と薬は保険適用になります

ADHD(注意欠如・多動症)は、健康保険の給付対象となる疾患です。精神科・心療内科を保険証を持って受診すれば、診察も、処方される治療薬も、通常どおり3割負担(年齢や保険の種類により1〜3割)で受けられます。

「発達障害は保険がきかない」というイメージを持たれることがありますが、これは検査の一部や、診断書などの文書が自費になることが混同されて広まったものと考えられます。何が保険の対象で、何が対象外なのかを先に整理しておきましょう。

保険が使えるもの・使えないものの一覧

項目 保険適用 補足
初診・再診の診察 通常の保険診療
ADHD治療薬の処方 薬代も保険適用
診察に伴う心理検査 診療報酬上の点数が定められています
WAIS-Ⅳなどの知能検査 保険で行う医療機関と、自費コースを設けている医療機関があります
公認心理師によるカウンセリング ×(多くは自費) 実施形態により異なります
診断書・意見書などの文書 × ただし傷病手当金の意見書は保険適用

「△」の検査については、後ほど詳しく説明します。

初診・再診でかかる費用の目安

保険診療の自己負担は、行った診療内容によって変わります。おおよその目安として、精神科・心療内科では次のような水準になります。

  • 初診——3割負担で2,400〜3,000円程度
  • 再診——3割負担で1,500円程度

(アウル五反田駅前心療内科の料金ページに掲載の目安。医療機関や実施内容により金額は変わります)

これに薬をもらう場合の薬局での支払いが加わります。ADHDの治療は、治療初期は数週間ごと、その後は月1回程度の通院となることが多く、診察と薬をあわせて月に数千円程度を見込んでおくと、生活設計を立てやすくなります。

ADHDの検査費用はどうなるのか

診療報酬上は保険で算定できる検査です

成人のADHDの評価でよく用いられるWAIS-Ⅳ(ウェクスラー成人知能検査 第4版)は、診療報酬点数表の「D283 発達及び知能検査」の『操作と処理が極めて複雑なもの』(450点)に位置づけられています。1点が10円ですから、450点=4,500円。3割負担なら1,350円という計算になります。

同じ区分にはWISC-Ⅲ・WISC-Ⅳ・WISC-Ⅴ・WAIS-Ⅲも含まれ、いずれも検査と結果処理に1時間30分以上を要するものとされています。なお、同じ日に複数の検査を行っても、算定できるのは主たるもの1種類のみです。

それでも自費のクリニックがあるのはなぜか

一方で、WAIS-Ⅳを自費(1〜3万円程度)で実施している医療機関もあります。理由はいくつか考えられますが、検査の実施と採点・報告書の作成に心理職が長時間を要すること、結果説明に十分な時間を確保していることなどが背景にあります。

つまり、WAIS-Ⅳを保険診療として実施するか、自費診療として提供するかは医療機関によって異なります。保険診療の場合も、医師が診療上必要と判断し、算定要件を満たすことが前提です。検査費用を重視する場合は、予約の際に「WAIS-Ⅳは保険診療ですか、自費ですか」と確認しておくと確実です。

当院の場合

アウル五反田駅前心療内科では、初診時に保険診療の範囲で実施できる心理検査を必要に応じて行っています。そのうえで、より詳しく認知機能のプロフィールを把握することが有用と判断した場合には、WAIS-Ⅳの自費コース(1日目13,000円/2日目の結果説明7,000円)をご案内しています。必要に応じてCAARS(成人のADHD特性を評価する質問紙)などを追加する場合も、1日目の検査費用は13,000円で変わりません。検査は約90〜120分、結果は2〜3週間後の説明となります。

なお、知能検査は診断を単独で確定させるものではありません。得意・不得意の傾向を客観的に把握し、診察で伺った経過とあわせて見立てを行うための材料です。

ADHDの治療薬と費用

日本でADHDの治療薬として承認されているのは、主に次の4種類です。いずれも健康保険の適用があります。

一般名(主な商品名) 成人への適応
メチルフェニデート徐放錠(コンサータ) あり
アトモキセチン(ストラテラ) あり
グアンファシン(インチュニブ) あり
リスデキサンフェタミン(ビバンセ) なし(6〜18歳が対象)

ビバンセは日本では小児期のADHDに対する適応であり、成人ADHDに対する承認適応はありません。

また、コンサータとビバンセは流通管理の対象で、登録された医師・薬局でなければ処方・調剤ができません。「近所のクリニックで処方してもらえなかった」という場合、この登録の有無が理由であることがあります。

薬の効き方や副作用の出方には個人差があり、少量から始めて様子を見ながら調整していくのが一般的です。眠気、食欲低下、動悸、頭痛などが生じることがあるため、開始後しばらくは定期的な診察が必要になります。

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自立支援医療の対象となれば自己負担は原則1割になります

通院を続けることになった場合、負担を軽くする制度が自立支援医療(精神通院医療)です。精神疾患があり、通院による精神医療を継続的に必要とする方が対象で、対象となった場合、医療費の自己負担は原則1割となります。さらに、世帯の所得に応じて、ひと月あたりの自己負担上限額が設けられています。

所得区分 負担上限月額
生活保護世帯 0円
低所得1(住民税非課税・本人収入80万円台以下) 2,500円
低所得2(住民税非課税・上記を超える) 5,000円
中間所得1(住民税所得割3万3千円未満) 医療保険の自己負担限度額(「重度かつ継続」なら5,000円)
中間所得2(同3万3千円以上23万5千円未満) 医療保険の自己負担限度額(「重度かつ継続」なら10,000円)
一定所得以上(同23万5千円以上) 原則対象外(「重度かつ継続」なら20,000円・令和9年3月31日までの経過措置)

(出典:厚生労働省「自立支援医療制度の概要」東京都福祉局「自立支援医療(精神通院医療)について」。2026年8月時点)

申請の流れ

  1. 主治医に相談し、自立支援医療用の診断書を作成してもらう(当院では3,500円)
  2. お住まいの区市町村の担当窓口(保健所・保健センター、障害福祉課など)に申請
  3. 受給者証が交付されたら、指定を受けた医療機関・薬局で提示する

受給者証の有効期間は1年で、毎年の更新申請が必要です。診断書の提出は2年に1度となっています。また、自立支援医療はあらかじめ指定した医療機関・薬局でのみ有効ですので、通院先を変える際は変更手続きが必要です。

なお、ADHDが自立支援医療の対象になるかどうかは、症状や治療の必要性をふまえた主治医の判断と自治体の審査によります。まずは診察のなかでご相談ください。

診断書などの文書は保険適用外です

会社に提出する診断書や、各種申請用の書類は保険診療の対象外で、全額自己負担となります。金額は医療機関ごとに設定されており、当院の場合は次のとおりです。

  • 診断書(当院所定用紙)——3,500円
  • 自立支援医療申請用診断書——3,500円
  • 精神障害者保健福祉手帳申請用診断書——7,000円
  • 障害年金申請用診断書——10,000円

ただし例外があり、傷病手当金の申請書に医師が記入する意見書は保険適用です(当院では3割負担で300円)。休職を検討している方は覚えておくとよいでしょう。

受診の流れ

  1. 予約——多くの精神科・心療内科は予約制です。WEB・LINE・電話などで初診を予約します
  2. 問診・診察——現在の困りごとと、子どもの頃からの経過を伺います。通知表、母子手帳など当時の様子が分かる資料があると参考になりますが、なくても差し支えありません
  3. 心理検査——必要に応じて実施します
  4. 診断・方針の相談——検査結果と診察を総合して見立てをお伝えし、環境調整・薬物療法などの選択肢を相談します

初診の際は、保険証(またはマイナ保険証)を必ずお持ちください。他院に通院中の方はお薬手帳もあると診療がスムーズです。

なお、うつ病や不安症、睡眠障害などでも「集中できない・ミスが増える」ことは起こります。大人のADHDについての解説記事もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 保険証を使うと、会社に知られてしまいますか?
医療機関から勤務先に受診の事実が伝えられることはありません。ただし、加入している健康保険組合から「医療費のお知らせ」が送付される仕組みはあります。心配な場合は診察時にご相談ください。

Q. 診断がつかなかった場合も費用はかかりますか?
診察を受けた時点で保険診療が発生しますので、診断の有無にかかわらず自己負担分のお支払いが必要です。

Q. 子どもの頃に診断されていなくても受診できますか?
できます。大人になってから困りごとが表面化するケースは珍しくありません。

Q. 薬を飲まない選択もできますか?
できます。環境調整や工夫だけで対応する方も多くいらっしゃいます。治療方針は診察のなかで一緒に決めていきます。

まとめ

  • ADHDの診察・治療薬は健康保険の対象。初診3割負担で2,400〜3,000円程度が目安
  • WAIS-Ⅳなどの知能検査は保険で行う医療機関と自費の医療機関があり、事前確認が確実
  • 継続的な精神科通院が必要な場合は、自立支援医療の対象となり、自己負担が原則1割となることがあります(所得に応じた月額上限もあります)。
  • 診断書などの文書は自費。ただし傷病手当金の意見書は保険適用

費用の不安で受診が遅れ、困りごとが積み重なって二次的な不調につながることは避けたいところです。まずは相談だけでも構いませんので、気になる症状が続いている場合は医療機関にご相談ください。

ご予約について
本記事の監修医師・福島康浩が院長を務めるアウル五反田駅前心療内科(五反田駅徒歩2分)は、朝8時から診察を行っており、当日の診断書発行、WAIS-Ⅳによる認知機能の評価、カウンセリングに対応しています。

アウル五反田駅前心療内科では、初診時の診察に加えて、必要に応じてAQ-JやADHD関連の質問紙など、保険診療の範囲で実施できる心理検査を行っています。そのうえで、より詳しい認知機能の評価が有用と判断した場合には、WAIS-Ⅳの自費コースをご案内しています。
初診のご予約はWEB・LINE・お電話(03-5447-0300)から可能です。
アウル五反田駅前心療内科のご予約はこちら(WEB・LINE対応)

※本記事の制度・費用に関する情報は2026年8月時点のものです。診療報酬や公的制度は改定される場合があります。実際の費用は受診される医療機関にご確認ください。

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